今回は「広がりのある音にする方法」について書いてみます。
DTMでストリングスやパッド系を打ち込んだ時、
どこか音が狭く感じたり、物足りなさを覚えたことはありませんか?
「深みがない」と感じる場合もあるでしょう。
この原因はエフェクトや音色だけでなく、コードの打ち込み方も関係しています。
今回は、広がりを生むためのアイデアとテクニックを紹介していきます。
コード使用音域
通常、コードを打ち込む時は、右手だけで演奏できる形にすることが多いと思います(鍵盤の場合)。
すると、自然に1オクターブ以内に収まる押さえ方になりますね。
この、1オクターブ以内に収まる押さえ方を「クローズボイシング」といいます。
音色によってはこれで十分なこともありますが、
特にストリングスやパッド系の音で広がりを出したい時は一工夫が必要です。
その工夫とは、「使う音域を広げる」ということです。
音域を広げる方法の1つとして、
1オクターブ以上の音域を使う「オープンボイシング」があります。
例えば「Dm7」というコードを考えてみましょう。
普通なら、下から「レ、ファ、ラ、ド」の順で押さえますよね?
(クローズボイシング)
ここで、上から2つ目の「ラ」を1オクターブ下げてみます。
そうすると、下から「ラ、レ、ファ、ド」という並びになります。
このようにすると、使用音域が1オクターブを超えるので(オープンボイシング)、
サウンドに広がりと奥行きが出てきます。
もちろん他にも、上から3つ目の「ファ」を1オクターブ下げた「ファ、レ、ラ、ド」にする方法や、
2つの音を入れ替えて「レ、ラ、ファ、ド」にするオープンボイシングもあります。
このように使用音域を工夫することで、コードをより立体的に響かせてくれます。
オープンボイシングとクローズボイシングの使い分け方
コードの打ち込みでは、音を「クローズボイシング」でまとめるか、
「オープンボイシング」で広げるかの選択が、
サウンドに大きな影響を与えます。
クローズボイシングは、密度が高くまとまりが良いので、
動きが速いフレーズに向いています。
ポップスやダンスミュージックでのシンセフレーズや、ジャズピアノなどによく使われます。
オープンボイシングは、空間的な広がりと透明感が生まれるので、
ストリングスやパッドのような、包み込むような役割に向いています。
映画音楽やアンビエント、オーケストラのような場面に最適です。
リバーブやディレイの活用
コードの配置を工夫するだけでなく、リバーブやディレイといったエフェクトも
広がりを生むための重要な要素です。
リバーブは音の残響を加え、空間の広さを感じさせます。
たとえば、ホールリバーブを使うと大きなホールで演奏しているような響きが得られ、音が広がります。
逆に、小さな部屋を再現するようなリバーブを使うと、タイトな印象に変わります。
一方、ディレイは、音に遅延を与えるエフェクトです。
特に、左右の遅延時間を別々に設定できる「ステレオディレイ」を使うと、
左右で異なるタイミングの反響が生まれ、音が立体的に広がります。
例えば、ストリングスに軽くディレイをかけると、
厚みが出て美しい奥行きを感じさせます。
ただし、リバーブやディレイは、使いすぎると音がぼやけてしまうので、
やりすぎには気を付けましょう。
EQとパンで広がりの調整
さらに、ミキシングの段階でEQとパンを活用することも、広がりのある音を作るポイントです。
EQは、周波数ごとの音量を調整できるエフェクトです。
これにより、各音の役割を明確にします。
例えば、ストリングスの低音を少し削って他の楽器と重ならないようにすることで、
全体がクリアに聞こえるようになります。
また、パンを使って音を左右に配置すると、音の広がりが増します。
たとえば、バイオリンを左に、チェロを右に振ると、
アンサンブル全体が立体的に感じられます。
このように、各楽器の役割を考えながら、音域や定位が重ならないように調整することで、
曲全体がスッキリとした広がりを持ちます。
まとめ
広がりのある音を作るには、使用音域の工夫や、エフェクトの活用、EQとパンによる調整をします。
オープンボイシングを取り入れながら、リバーブやディレイで奥行きを加え、
EQやパンで各楽器が重ならないようにすることで、音に広がりが出てきます。
ぜひ、これらのテクニックを活用して、
広がりのあるサウンドを作ってみてくださいね(^◇^)ノ
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